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放送業界では、より高い品質、効率性、相互運用性への高まる要求に応えるため、次世代技術の採用による急速な変革が進んでいます。その中でも最も期待されているのがJPEG XSです。JPEG XSは、リアルタイムの映像・音声ワークフロー向けに設計された最先端の圧縮規格です。放送局がIPベースのシステムに移行し、4Kコンテンツが主流になるにつれ、JPEG XSは、品質に妥協することなくシームレスな運用を実現するための重要なツールとして浮上しています。

JPEG XSとは
JPEG XSは「JPEG eXtra Small」の略で、Joint Photographic Experts Group(JPEG)によって開発された低遅延で軽量な画像圧縮規格です。H.264やHEVCのような従来の圧縮コーデックとは異なり、JPEG XSは低遅延と高い視覚的忠実度を優先しています。通常2:1から10:1の比率で視覚的なロスレス圧縮を提供するため、リアルタイムのパフォーマンスが重要なシナリオに最適です。

JPEG XSが放送の常識を変える理由

  • リアルタイムアプリケーションのための低遅延
    放送局、特にライブプロダクション、リモートワークフロー、インタラクティブコンテンツにおいて、遅延は大きな懸念事項です。JPEG XSは、11から12ラインのオーダーでサブミリ秒の遅延を実現し、IPネットワークを介した高品質の映像のリアルタイム伝送を可能にします。これは、同期を維持し、シームレスな視聴体験を提供するために非常に重要です。
  • 高画質圧縮
    JPEG XSは、エンコードとデコードを何度も繰り返しても、視覚的にロスレスな画質を実現するように設計されています。そのため、4K、8K、HDRコンテンツなど、妥協のない鮮明さが求められる高解像度映像制作に適しています。
  • スケーラビリティと効率性
    従来の圧縮規格とは異なり、JPEG XSはIPベースのワークフローに最適化されています。拡張性に優れ、ソフトウェアおよびハードウェア環境でシームレスに動作します。計算量が少ないため、JPEG XSは処理のオーバーヘッドを最小限に抑え、リソースの効率的な利用を実現します。
  • ST 2110との相互運用性
    放送業界では、IPネットワークを介したプロフェッショナルメディアのための規格群であるSMPTE ST 2110の採用が進んでいます。JPEG XSはST 2110と容易に統合でき、IPベースの制作環境における圧縮ビデオストリームのための堅牢なソリューションを提供します。

実世界での応用

  • リモートプロダクション(REMI)
    リモートプロダクションの人気が高まる中、JPEG XSは放送局が低遅延で高品質のビデオフィードをリモートロケーションから中央施設に最小限の遅延で伝送することを可能にします。これにより、遠隔地にいるタレントや番組貢献者とのリアルタイムのインタビューや会話が可能になり、現場のクルーや機材の必要性がさらに減り、コスト削減と柔軟性の向上が実現します。
  • スタジオ間リンク
    JPEG XSは、スタジオ、データセンター、プレイアウト施設間の効率的で高品質な伝送をサポートし、スムーズな相互運用性を確保するとともに、従来のワークフローの複雑さを軽減します。
  • ライブスポーツとイベント
    JPEG XSの低遅延と高忠実度は、一瞬のタイミングが重要なスポーツ、コンサート、その他のイベントのライブ放送に最適です。

採用の課題と機会
JPEG XSは計り知れない可能性を秘めていますが、その採用はまだ初期段階にあります。一部の放送局は、インフラのアップグレード、トレーニング、レガシーシステムへの統合に関する課題に直面しています。しかし、業界ではJPEG XSへの支持が高まっており、メーカー各社は製品やソリューションにJPEG XSを組み込んでいます。

放送におけるJPEG XSの将来
放送事業者がより高い効率でプレミアム品質のコンテンツを配信しようと努力する中、JPEG XSは基幹技術になろうとしています。低遅延、高品質、IPベースの規格との互換性というJPEG XSのユニークな組み合わせは、業界のオールIPワークフローへの移行と次世代放送の要求に完璧に合致しています。

JPEG XSを採用することで、放送局は創造性、効率性、視聴者エンゲージメントの新たな可能性を解き放つことができ、ダイナミックさを増すメディア環境において競争力を維持することができます。

JPEG XS の導入に貢献するLeader製品のラインアップ
Leader 、LV5600 とLV7600オプションをリリースしました。 LV5600W波形モニタと LV7600Wラスタライザ用オプションです。本オプションにより、ストリーム解析、SMPTE ST 2110-22(JPEG XS)のエンコード/デコード、JPEG XS圧縮映像信号の評価、パケットヘッダ解析、パケットエラー検出、JPEG XS、SDP、ST2110-40の比較表示が可能になります。また、SMPTE ST 2110-22(JPEG XS)圧縮映像テスト信号の出力も可能で、リップシンク(AVディレイ)テストパターンやBit Per Pixel圧縮率の調整も可能で、放送局やネットワークオペレータの利便性を向上します。